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仕事への思い
仕事への思い
皆さんが通常、目にしている住宅の建築現場。その中で、木材をって建てられる家はたくさんあります。しかし実は同じ木造でも、私たちの手がけている伝統構法による木の家とは違うものがそれらの多くを占めています。
日本はつい最近までの千数百年、生活に必要なものは自然からの恩恵としてありがたく頂き、感謝することが当たり前でした。家づくりにおいても、自然素材と熟練の職人の手により時間をかけて大切につくられる事が当たり前でした。しかし現代では、無農薬野菜を作る(食べる)為に苦労をしたり、自然素材を手に入れるために高いお金を支払ったり・・・、本末転倒と言わんばかりの事が平気に起きています。
暑い夏は嫌いですか?寒い冬は嫌いですか?
しかし、暑い夏があるからキーンと冷やしたビールが美味しいのです。
体の芯までしばれるような寒さがあるから、仕事上がりの熱燗が身にしみて、熱々のお鍋や家族の温もりが恋しくなるのです。
品質の均一化の波に押されて、木の事を考えないような人工乾燥が行われています。機械は、木の癖や目を読めませんから、人が機械を扱わなければならないはずです。それが機械任せにしてしまったが為に、木のしょうや粘りも抜けてしまっては、素材本来の持味を引き出せなくなってしまいます。
私たちがつくる住まいは、材料も一つ一つ目で見て触って、材料その物と使い方を相談しながら決めていきます。その為、「お隣さんの方が後から建て始めたのにうちはまだかしら?」ということも珍しい事ではありません。
日本の住宅平均寿命が30年前後と言われる今日ですが、元来日本の住まいの寿命はそんなに短いものではありませんでした。住まいばかりではありません、着物や箪笥、その他の道具など祖父母から受継がれる物が沢山ありました。また、物ばかりでもなく、知恵や工夫も一緒に受継がれてきたのでした。
近頃めっきり大黒柱の存在をお忘れではないでしょうか?
家の中の大黒柱は、家そのものを支える大切な構造材として、その家の象徴としてそこに住まう家族に敬われていました。大黒柱は、朝夕と磨き大切にされていました。そのように、手を掛けることによって、自然と愛着も深まっていったのではないでしょうか。
昔の日本では、木と人は仲良しだったんだ・・・」
どこかで聞いたような言葉であろうかと思います。けれど、本当です。
昔の古い民家に行きますと、家の裏手に「破風林」や「塚森」などがあったりします。
たしかに、風よけという意味もあったのですけれど、それだけではありません。
実はそこに究極のエコがあります。
世界に、いわゆる古代文明と称される文明を築いた民族はたくさんあります。
エジプト、メドポタミア、チグリス・ユーフラテス、黄河など、
いずれも4000年の歴史を持つ文明です。
ところが世界の古代文明の地は、いまではほぼそのすべてが砂漠化しています。
それらの土地は、もともと砂漠だったわけではありません。
東京・渋谷で「明治神宮の森」となっているところは、 かつて練兵場があったところです。戦争が終わり、 練兵場が閉鎖されたとき、日本はどうしたかというと、 そこを森にしました。だからいまは「神宮の森」です。 明治神宮の森に植林した当時は、 日本国内では早成する杉や松が盛んに植えられた時期でした。